〝資産承継〟のためのアパート経営。資産を目減りさせないための解決策とは?
2019.05.31

次の世代に資産を受け継ぐにはどうするのがベストなのか。これは難しいテーマです。子どもが自由に使えるように現金で残したいと考えている方も多いと思います。

しかし、2015年(平成27年)に相続税法が改正され、基礎控除額(税金のかからない金額)が引き下げになりました。これまでの「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」から「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」へ。この改正により、相続税が課税された人は、2015年(平成27年)の4.4%から、2016年(平成28年)は8.0%まで急増。次の世代へ資産を承継するには、相続税への備えが今まで以上に必要になってきています。

そこで注目されているのがアパート経営です。アパート経営について、“資産承継”の視点から節税効果、相続トラブル回避の対策などを詳しく紹介したいと思います。

節税効果が期待できるアパート経営

アパート経営のメリットは、相続税の節税効果にあります。具体的には「貸家建付地(かしやたてつけち)の評価減」、「小規模宅地の特例」の活用によって相続税を抑えられます。(ただし、空室になっている部分の面積には貸家建付地の評価減、小規模宅地の特例は適用されないので、満室にする努力が必要です。)

貸家建付地とは、賃貸用不動産の土地のことです。アパートの居住者には賃借権が発生するので、居住者がいる場合には売買や用途替えのために更地に戻すのが難しくなります。したがって、居住者の賃借権の分だけ、土地の評価額が下がります。算出方法を詳しく知りたい方は、「土地を受け継いだら税金はどうなる? 土地相続シミュレーション」を参考にしてみてください。

小規模宅地の特例は、相続税の対象となる不動産の評価を引き下げられる特例です。相続税を払うために、住み慣れた自宅や大切な土地を売却しなければならない事態を防ぐために制定されました。

自宅の場合は、330㎡までなら土地評価額を80%減額、アパートの場合は、200㎡までなら土地評価額を50%減額できます。

さまざまな制度を活用することで大きな節税効果が生まれる。そのために、事前の準備と下調べが重要になる

この貸家建付地の評価減、小規模宅地の特例は併用することができます。アパート経営では、まず貸家建付地の評価減を受け、さらに小規模宅地の特例を活用することで、200㎡までの土地の評価額を50%減額できるのです。

ただし小規模宅地の特例は、2018年(平成30年)の税制改正によって、相続開始の3年以内に賃貸経営を始めた場合は除外されるようになりました。2018年(平成30年)3月31日までに賃貸を始めている場合は税制改正の影響は受けませんが、これからアパート経営を始められる方は気を付ける必要があります。

トラブルやリスクを回避するために

アパート経営には大きな節税効果があることを紹介しましたが、注意点もあります。失敗しないために、トラブルになりやすい点やリスクを把握しておきましょう。

まず意識してもらいたいのは、アパート経営はあくまでも“経営=ビジネス”であるということです。アパートを建てただけで、何もせずにお金が継続して入ってくるわけではありません。新築時には人気があったとしても、アパートの魅力を向上・維持する努力を怠れば、当然、入居者が減ってしまいます。

幸いアパート経営は、家賃収入の上限、修繕費用が発生するタイミングを予測しやすいため、計画が立てやすい事業です。事業計画書を作成すれば、収入・支出の長期的な見通しが立てられるため、仮に経営がうまくいかない場合も、事業の立て直しに役立ちます。資産を目減りさせないためには、「賃貸経営という事業の承継」の意識が重要になります。ぜひともアパート経営を始めるときには、アパート経営の専門家と細かい点までしっかりと話し合い、事業計画書を作成しましょう。

次に、注意しなければならないのは、相続時のトラブルです。アパートを建てたときに、家族全員の共有名義にするケースが多く見られますが、これはトラブルにつながりやすいです。アパート経営は、数十年も続く長期的なビジネスです。もしものことがあったとき、誰が責任を持って賃貸経営を受け継ぐのか、事前に親族間で話し合って決めておくことをおすすめします。

専門家と無理のない事業計画を立てることで、2代、3代先を見据えて安定した経営が可能になる

財産分与は遺言でいいのではないか?という意見も聞きます。2019年(平成31年/令和元年)には、法改正によって、自筆証書遺言が簡単に作れるようになりました。これまでは財産目録も手書きでしたが、パソコンでの作成も認められるようになったので、遺言を残そうと考えている方もいらっしゃると思います。

しかし、相続時のトラブルを防ぐための遺言が、かえってトラブルのもとになることがあります。遺言で突然アパート経営を子どもに任せたとしても、子どもはアパート経営に興味がなかったり、他の財産を希望していたり、管理が負担になったりするケースがあります。こういったトラブルの大半も、アパート経営を始めるときに、“誰が賃貸経営を受け継ぐのか”と、きちんと話し合っていれば防ぐことができます。

世代を超えて受け継ぐアパート

目に見える資産として次世代へ受け継いでいけるアパート経営の魅力。そんなアパート経営の承継には相続税への備えが不可欠です。節税効果のあるアパート経営は相続対策の一つですが、資産や家族の状況は一人ひとり異なります。賃貸経営をご検討の方は、アパート経営の専門店 、税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタントなどの専門家に、まずは相談してみてくださいね。

監修=大野晃男(税理士|渡邊浩滋総合事務所)

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