京町家の階段箪笥からインスパイアされたセレこだわりの「階段収納ユニット」

古の時代から、限られた空間を巧みに活用した住まいづくりを得意としてきた日本人。日本の伝統的な建築物の中には、現代の家屋にも十分通用する優れた空間設計や設備、仕掛けがたくさんあります。

今回は、そんな日本の伝統的な暮らしの工夫が、セレのこだわる空間設計「Fusion Type(フュージョンタイプ)」に生かされた事例をご紹介しましょう。

居住空間と収納スペースを両立した、先人の暮らしの知恵

江戸時代中期、京都の街には、すでに30〜40万人の町人が暮らしていたといわれています。これは同時代のロンドンやパリなど、世界の大都市に比肩する数字。都市の面積としてはより狭いので、世界でも有数の人口過密都市でした。そうした状況の中で生まれたのが、職住一体の“京町家”と呼ばれる住まいです。

間口が狭く、奥に細長い独特の敷地は、間口の広さによって課税額が決められた当時の税制に影響を受けたものといわれています。一戸あたりの敷地面積が狭いため、居住空間や収納スペースの確保には工夫が必要です。京町家には「通り庭」や「火袋」など特徴的な建築方法がいくつも見られますが、そのうちの一つに「階段箪笥」や「箱階段」と呼ばれるものがあります(以下、階段箪笥)。

京町家に多く見られる「階段箪笥」。無駄をつくらず空間を最大限に活用する暮らしの知恵がこの発想を生み出した

これは二階に上がる階段の裏側、本来デッドスペースになってしまう部分に引き出しや戸棚を付け、収納としたもののこと。限られた敷地を最大限に活用するために先人たちが考え出した、知恵の結晶です。

階段収納ユニットができるまで

コンパクトな面積の中で、衣食住の全てにおいてゲスト(セレでは入居者のことをゲストと呼びます)に満足してもらえる環境を実現した、セレこだわりのルームプラン「Fusion Type」には、階段箪笥の発想が取り入れられています。

高い位置にベッドスペースを配置することで、まるで宙に浮かぶような空間を演出。空いた下部の空間をワークスペースとしていることが特徴の「Fusion Type」は、間取りを立体的にとらえることで、ワンブロックの空間に2つの役割を与えることに成功しています。

そのベッドに上がるための階段は、まるで階段箪笥のように一段一段がボックス形状になっており、収納スペースとして使えるのです。これは階段箪笥からインスパイアされ開発されたセレオリジナルの「階段収納ユニット」というもの。他社のワンルームには見られない斬新なアイデアは、どのように生まれたのでしょうか?

この階段収納ユニット開発に携わったゲストリレーション企画チームの吉野さんは、ベッドへの昇降手段を考えるにあたり、まさしく京町家の階段箪笥に着想を得たと言います。

階段収納ユニット開発に携わったゲストリレーション企画チームの吉野さん。ゲストの暮らしやすさへのこだわりを語ってもらった

吉野 通常、ワンルームの物件でロフトへの昇降にはハシゴを使うのが一般的ですが、荷物を持っていると登りにくく、登りやすい傾斜にすると無駄なスペースが生まれてしまいます。何か良いアイデアはないかと模索していたところ、伝統的な京町家に用いられていた階段箪笥に行き着きました。

――しかし着想を具現化することは、決して簡単ではありませんでした。京町家での階段箪笥は収納部分の容積を確保するとともに、短い距離で二階へと移動するため、一段ごとの段差が大きくなっています。急こう配なそのままの形では現代の住まいにふさわしくありません。毎日必ず使う動線として楽に上り下りすることができ、かつ収納スペースも確保できるユニットを開発するために、吉野さんはまず自社所有物件に階段箪笥のプロトタイプを作りました。

ベッドの縁を手すりにすることで安定した上りやすさを担保。どこまでもゲストの暮らしやすさを第一に考えるセレの理念が垣間見える

吉野 最初はベッドに対して真っ直ぐにアプローチする方法を考えましたが、その方法だと壁に手すりを設置する必要があり、無駄なスペースができてしまいます。そこでベッドに横からアプローチする方式に発想を転換。この方法なら、ベッドの縁を手すり代わりに使うことができます。見た目もシンプルにすることができました。

――一段ごとの高さを設計するにあたっては、より多くの工数が必要でした。条件は「上り下りがしやすく、かつ収納部分はA4サイズの書類が縦に入り、カゴなどもしまいやすい形状であること」。その工夫を吉野さんはさらに語ります。

「現在のシンプルなカタチで一旦完成はしていますが、利便性向上のために日々微調整が重ねられているんですよ」と吉野さん

吉野 楽に段差を上がるためには一段を低くし、段数を増やす必要がありますが、その目的に終始しすぎると広いスペースが必要になってしまいます。移動の快適さと収納容積の確保は、実は矛盾する条件。自分の足で何度も使い勝手を確かめながら、ミリ単位で図面を調整していきました。

――そうして誕生したものが、一辺約400mmの立方体を並べた、あまりにもシンプルな造形。試行錯誤の末に行き着いたものは、極限まで無駄が削ぎ落とされ、形が単純化することをよく表しています。

収納と階段の機能を両立する「階段収納ユニット」。シンプルな見た目ながらその収納力は抜群。ベッドへも上がりやすい高さだ

収納部分は、ゲストたちがライフスタイルに合わせて好きなものをしまえるように、あえて引き出しや戸が設けられていません。見た目にもスッキリし、「Fusion Type」のコンセプトにぴったり合ったデザインの階段収納ユニットが完成しました。

セレの社風から生まれる、ゲスト目線の空間設計

こうしたアイデアが生まれ、商品化された背景には、全社員が商品企画を出し合う「社内コンペ」の開催や、過去には社員が部署を横断して集い、新しい企画を考える「部会」など、“優れたアイデアを商品につなげる”意欲に満ちたセレならではの社風があります。

セレが提案する間取りには、この階段収納ユニット以外にも斬新なアイデアがたくさんあります。限られた空間を平面でなく立体的に捉えることで最大限に活用し、面積以上の広さを体感できるようにするための創意工夫、ゲストの暮らしをより豊かに彩るための努力です。

ゲストの暮らしやすさの追求は周辺物件との差別化にも繋がります。「この立地ではなく、この部屋だから住みたい」という意識を醸成することができ、入居希望者の増加などによって空室リスクの軽減も期待できるため、オーナーになった際の大きなメリットになります。

セレではモデルルームもご用意していますので、こだわりの空間設計、そして階段収納ユニットをぜひ体感しに来てくださいね。

取材協力=吉野伸(リーダー|ゲストリレーション企画チーム)

TAGS: #Fusion_Type  #空間設計  #立体設計 

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