「住まいづくり」視点で考
える、コミュニティのため
の不動産投資とは?
「住まいづくり」視点で考え
る、コミュニティのための不
動産投資とは?

2019.02.14

目に見える「実物資産」として後世に受け継いでいくことができる、アパートやマンションといった不動産。金融資産に比べてインフレに強いという大きなメリットがありますが、残念ながら不動産の価値も不変ではありません。土地の価格は景気や需要によって変動し、一般的に建物の価値は年を経るごとに下がっていくものです。

しかし、不動産を所有する意義とは、そうした経済的な価値だけに留まるものではありません。より普遍的で、人や社会への貢献度が高い価値もあるのです。それが“コミュニティの形成”です。今回は、コミュニティという新たな観点から不動産投資を考えてみたいと思います。

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時代とともに変化してきたコミュニティ

コミュニティを意識的に形成しなければならなくなったのは、いつからでしょうか?

人が集えば自然に交流が生まれ、コミュニティが形成されていく時代が、日本では長く続いてきました。例えば江戸時代、長屋といわれる連棟式家屋で隣人と生活の場を共有するのはごく一般的な庶民の暮らし方でしたし、自宅の庭で知らない子供が遊んでいても、目くじらを立てる大人はいませんでした。

しかし近代になって日本も欧米化が進み、「公」と「私」の場が明確に区別されるようになりました。住宅はプライバシーが重視されるようになり、「家族以外の他者との交流は、公共の場でなされるもの」と認識されるようになります。

 

より現代に近くなると、核家族化やひとり暮らし世帯の増加によって、一戸あたりの構成人数が減り、世帯の細分化が進みます。すると家族間で交流する時間すら短くなり、また家族を通じて行なっていた地域との交流も機会を失っていきました。さらにスマ―トフォンやインターネットの発展など、人とつながる方法が多様化したことで、実際に人と人がリアルに顔を合わせる時間をますます減らしていきました。

こうした文化や住宅の変化から、近年ではコミュニティの在り方がより重視される時代となっています。まさに情報社会の現代ならではの課題と言えるでしょう。

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資産価値を有するコミュニティの存在

「隣人とのコミュニケーションや、地域単位でのコミュニティは本当に必要なのか」と疑問視する人もいます。このように、コミュニケーションやコミュニティの存在意義が問われるようになっていったのは、現代的な都市構造や通信技術によるものでした。

想像してみてください。一時的にでも、地域とのつながりによる恩恵を一切受けられなくなった状態を。ひとたび大規模災害が発生すると、生活を支える社会基盤がいとも簡単に機能しなくなるでしょう。「災害大国」と呼ばれる日本に住む私たちは、幾度も目の当たりにしてきたはずです。

防災や減災ではよく「共助」という言葉が登場します。自らの力で生きぬく「自助」、行政からの力に頼る「公助」に対して、地域の住民同士で助け合うのが「共助」です。災害という極端な場面に限らず、普段から隣人同士互いにサポートしながら生活することは、一層の豊かさや安心を感じられることでしょう。

そうした状況の中で、現代では住まいの在り方も変容しつつあります。例えば若者に人気の「シェアハウス」。プライバシーが確保される個室を設けながら、生活空間の多くを共有する新しい住まいの広がりは「最近の若者は、昔ほど他者との交流を望んでいない」という大人たちの思い込みを変えてくれました。同居人との距離間は同居(ルームシェア)ほど密である必要はなく、それでいて一般的なひとり暮らしのような孤独を感じない。そんな緩やかな人とのつながり方ができることも、若者に人気の理由かも知れません。

 

また最近では、共用空間の価値をさらに高めた「ソーシャルアパートメント」もブームです。家賃を安くするために共用空間を設けるのではなく、住民間の交流が生まれるよう、あえて共用空間を確保する。ラウンジやコワーキングスペースなど、快適でホスピタリティの高い共用部を備えていることが特徴です。そうした積極的なシェアリング・スタイルは今までの日本の生活にはなかったものでした。

かつての団地などにも変化が見られます。居住部分だけでなく、敷地内の公園などをリノベーションして地域住民に広く使える設備にしよう、という取り組みを行なっているところが増えています。例えば、神奈川県横浜市の「左近山団地パークプロジェクト」。住民(管理組合)が主体となって、築年数約50年と老朽化が進んだ巨大団地の共用空間をリノベーションした、全国的にも珍しい事例です。「団地を丸ごと公園に」をキーワードに、古くなって使われなくなっていたプールを取り壊し、ウッドデッキとステージを新たに設置。祭りなどを仕掛けやすくしたほか、傾斜を生かした「芝生広場」にはベンチを数多く用意し、高齢者と子育て世代が交流しやすい場として生まれ変わらせました。

さらに、こうした動きは新築マンションの造りにも影響を与え、居住者間の交流が自然に生まれるような共用部を備えるようになりました。良質なコミュニティの存在が「資産価値」として評価されるようになった結果と言えるでしょう。

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人を育て、街をつくる不動産投資

これら新しい形の集合住宅に共通するのは、居住者間の交流を自然発生に頼らず、新たにコミュニティを生み出そうという意思。「地域」という単位にとらわれず、趣味嗜好や暮らし方の好みといった「想い」を基盤とした共同体を形成しようとしているところです。

ただ、不動産所有者や管理会社の「想い」だけでは、コミュニティを創り出すことはできません。建物を建てる場所や造り、内装、あるいは入居者募集や管理といった演出を通じて、いかにして一貫したメッセージを発信できるかがコミュニティ形成を促す鍵になります。

不動産会社や管理会社の「想い」とオーナーの「想い」。両者の「想い」がひとつとなって初めてアパート経営やマンション経営といった「カタチ」になります。信頼できるパートナーと二人三脚で経営することが不動産投資の成功につながり、いずれその不動産は街の顔へ……。

住まいづくりは人を育てること。コミュニティを意識した不動産への投資は、まさに街づくりそのものと言えるかもしれません。

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