【第2回】〝地主の参謀〟
に聞く! 相続される立場
に必要なマインドとは?
【第2回】〝地主の参謀〟に
聞く! 相続される立場に必
要なマインドとは?

2019.06.27

資産を守っていく上で大切な考え方や知識などをガイドした注目の書籍『地主の参謀』(エベレスト出版)。その著者であり、地主専門の資産防衛コンサルタントとしても活躍する松本隆宏さんに資産形成・運用・相続のポイントを指南していただきました。

第2回は、松本さんご自身も経験されたという「資産を相続される立場」の心構え。これまでコンサルティングを重ねる中で、地主の方々がどのような悩みを持ち、それをどのように解決してきたのか。親から資産を相続することになった場合のアドバイスをいただきます。

決して大げさではない「3代で資産がなくなる」という俗説

土地や不動産を守り、次代に安心して残すためには、どのようにしたらいいのか? そんな悩みを抱える地主の方に向けて相続対策を練り、実践し、啓蒙に尽力している松本さん。

第1回では、士業とのベストな関係性について教えてもらいましたが、松本さんのストロングポイントは、クライアントである地主さんからだけではなく、チームを組む税理士からも「常に地主の立場に立って行動している」と評される真摯な姿勢にあります。

その真摯な姿勢を支えるのは、自らが地主家系の長男として生まれたというバックボーン。松本さんが語る「地主の息子」の背景からは「財産を受け継ぐ」世代の心構え、マインドのツボが見えてきました。

松本 私は父方、母方とも地主家系の長男として生まれました。地主の家系に生まれた方には身に染みてわかってもらえると思いますが、「地主は資産家であり、代々優雅に暮らしている」というのは、世間一般のイメージに過ぎません。「地主は3代で資産がなくなる」ともいわれる通り、大半の方が資産を減らしているのが現実です。

私がシミュレーションしてみたところ、10億円の資産は3代を経ると6,000万~7,000万円程度になってしまいます。「3代だから祖父母から両親、両親から自分と、2回の相続機会がある」というわけにはいきません。自分を中心に置くと、祖父から祖母、祖母から父、父から母、そして母から自分。そう、4回の相続を経るわけですから……。いかに潤沢な資産があっても、無策でいては目減りしていくのは当然のことなのです。

世間一般のイメージとは大きく異なるさまざまな苦労を語る松本さん。資産承継への意識は常に付きまとう課題だという

ーー“地主の参謀”松本さんの原体験は、まだ物心もつかない時代にあるといいます。地主の長男として悩み、奮闘するお父さんと歩いた幼い日の記憶が、熱がこもった地主さんの支援に松本さんを駆り立てているのでしょうか。

松本 私が生まれた年、父方と母方、両方の祖父が他界しました。その相続で何千坪もの土地を処理しなければならなくなったのですが、大変だったのはその後です。祖父の代に保証人になっていた身内の会社が倒産し、その負債が一気に父に降りかかってきました。

畑など、所有していた土地の大半を手放すことで何とか借金を返済するまで、相当の苦労があり、そして長い年月を要しました。幼い私も、父に手を引かれながらいろんなオフィスに足を運んだことをうっすらと覚えています。弁護士事務所、不動産会社、銀行などの金融機関、さまざまなところへ足を運んで金策に奔走していたという父。私が記憶にあるのも、それらの金策の相談の一つだったのでしょう。

なぜ父はあんなに悩み、そして先祖伝来の土地を手放さざるを得なかったのか? 的確なアドバイスは受けられなかったのか? この初期衝動が、私を“地主の参謀”にしたと言っても過言ではありません。

守るだけの地主ではなく、攻めの地主へ――これこそ、私が資産を受け継ぐ子世代に贈りたいメッセージなのです。

「守り」の地主から「攻め」の地主へ

攻撃は最大の防御なり。松本さんが語る「守りの地主から攻めの地主へ」のパラダイムシフトは刺激的な提案です。では、一体どのようにして「攻めの地主」を目指していったらいいのでしょうか。松本さんがまず掲げるのは、「経営者としての自覚を持つこと」です。

松本 考えてみてください。先祖の誰か、どこかの代が頑張ったから、今の地主の資産になっているんです。地主の子どもである皆さんが次の世代へ、そしてまたその次の世代へ、先祖が頑張って築いてくれた資産を残していくためには、収支をプラスにするという意識、つまり、“経営者マインド”を持つことが欠かせません。

土地や建物がある。そのことによって税制のことを自然に考え、触れる機会は増えるでしょう。賃貸物件を持っていたら家賃や空室率を考えたりすることも多くなる。経営について考える環境に事欠かないのが地主というポジションなのです。資産というメリットだけではなく、この環境をしっかり享受し、経営者として立って進んでいく。それが、財産を残してくれた先祖への最大のリスペクトと言えるのではないでしょうか。

ーーでは、地主が経営者として立つためには、まず何をしたらいいのでしょうか。松本さんが指南するのは、現状を把握し、分析するための「資産の見える化」、そして次代にプラスで回していくための「キャッシュフローの管理」です。

松本 ダイエットを目指して、あるいは筋力アップでもいいですが、スポーツクラブに通ったとしましょう。ちゃんとしたトレーナーなら、いきなりマシンに向かわせたり、走らせたりすることはありません。まずは身長、体重、体脂肪、筋肉量などのデータをとってシートにまとめ、それをもとにカウンセリングしながら、個々人に合ったプログラムを考えていくはずです。

相続を考える地主もしかりです。私が行なっているコンサルティングの一部を紹介しましょう。まず、クライアントの状況を私が長年の経験と知見から編み出した「現状分析書」に記入していただきます。

このシートは、権利・不動産評価や融資の評価、税務や保険の評価など多岐にわたる情報から分析します。これに記入する段階になるとわかりますが、地主の収入としていくら入ってきていて、税金がいくらで、返済はいくら、結局手残りはいくら……基本的なことですが、わかっていない方が意外に多いんです。

まずは、いったん立ち止まって現状をしっかりと把握する。この見える化を進めたら、相続のプロフェッショナルはさまざまな提案ができるようになります。多彩な選択肢が見えると、気持ちにゆとりも生まれてくることでしょう。

現状分析書のモデルをタブレットで見せながら解説する。自分の資産が今どのような状況なのか、その「見える化」が重要だ

ーー先祖から受け継いだ資産を確実に次世代へ残すために、まずは「○○家の現在地」をしっかり把握する。そうすることで、おのずと進むべき道が見えてくるのです。

キャッシュフローの管理と経営者マインド

そして次に考えるのが「キャッシュフローの管理」。これこそ、地主が「経営者として進んでいく」ための歩みになるのです。

松本 キャッシュフローとはお金の流れ。どこからお金が入ってきて、どこへお金が出ていって、いくら手元に残るのかを管理するということです。

地主の皆さんであれば、不動産を売却した時のお金、保険の解約をした時に受け取る解約返戻金など、一時的な収入の他に継続的な収入があります。入居者から毎月入ってくる家賃、駐車場の収入などですね。

そして、支出も一時的なもの、継続的なものがあります。不動産の購入や、建物の建築などにかかるお金、そして相続税も一時的なものですね。一方、継続的な支出には、毎年の固定資産税、ローンの返済、生命保険や損害保険の保険料などがあります。これらの収入と支出を合算し、経営意識をもって収入が支出を上回るようにすることが大切ですね。

資産承継はビジネスであるという経営者マインドをもって、次世代に受け継ぐことが出来るキャッシュフローを確保・管理することが大切になる

ーー細かな書類の作成や各種手続きは税理士なりのプロフェッショナルのサポートが欠かせませんが、「キャッシュフロー」という考え方のベースをご自身で持っておくことは、資産承継される側として欠かせないマインドセットになることでしょう。

取材協力=松本隆宏(ライフマネジメント株式会社)

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