水と共に歩む日本有数の蔵
元「小澤酒造」の歴史を継
ぐ 小澤幹夫のモノづくり
水と共に歩む日本有数の蔵元
「小澤酒造」の歴史を継ぐ
小澤幹夫のモノづくり

2019.03.14

東京都青梅市沢井で300年以上もの歴史を誇り、地元の方をはじめ全国各地に多くのファンを持つ「小澤酒造」。歴史と伝統を守りつつも、時代に合わせた酒造りを行なう23代目当主・小澤幹夫さん。今回はそんな小澤さんのモノづくりに向き合う姿勢や熱意を伺いました。

日本酒の要「水」と共に生きる小澤酒造

古くから日本人に愛されてきた日本酒。宴などで人々に日々の活力を与える存在であるとともに、祝い事や祭事でも欠かせない神聖なものとして扱われてきました。その製法は、原材料のほとんどを米と水とし、麹と酒母(酵母)による醸造(複発酵)を必要とする複雑で手間のかかる工程が特徴です。

醸造蔵の真横にある井戸。日本酒の豊かなうまみの土台となる清らかな水が湧き続ける

日本酒を造っているのは99%以上が中小企業。かつて国内には数千もの酒蔵が存在していましたが、現在は1,200~1,300件程度で、年々その数が減っているそうです。

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東京都の中でも自然豊かな青梅市沢井。多摩川の上流、御岳渓谷沿いに小澤酒造の酒蔵はあります。沢井という地名はかつて澤井村と呼ばれ、それが小澤酒造のブランド名「澤乃井」の由来になっています。小澤酒造の創業はなんと元禄15年(1702年)。この地で300年以上も酒造業を営んできました。

酒造りの“命”である水へのこだわりを穏やかな口調で語る小澤さん

小澤 日本酒を作る酒蔵にとって、最も大切な立地条件は綺麗な水が得られることなんです。米は遠方で生産されたものを運んでくることができますが、大量の水を遠くから取り寄せるのは現実的な手段ではありません。私の先祖はもともと違う仕事を営んでいたようですが、綺麗な水が大量に湧き出すこの場所なら、酒を造るのにぴったりだ、とひらめいたんでしょうね。

ーー「澤乃井」では、本社敷地内にある、岩盤を横に掘り進んだ洞窟の奥から湧き出す“中硬水”と、約4km離れた山奥の井戸から採れる“軟水”のみを仕込水として使用しており、商品によって使い分けているそうです。日本酒の成分で多くの割合を占めるのが水。水へのこだわりを持たずして、良い日本酒を造ることはできません。

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伝統を重んじた酒造りの姿勢

醸造したり、貯蔵したりするための蔵もまた、創業の頃に建てられたものを修繕、増築しながら使われています。堂々と構える蔵の扉を開けると内部は暗く、ひんやりとしており、高さ2mほどもある巨大な貯蔵タンクが無数に並んでいます。鉄やステンレスでできた現代的なタンクの他に、木でできた桶もありました。

樹齢300年の古木から作られたという木桶。先代当主が、現代的なほうろうの桶では醸し出せない味わいを求めて作らせたものだそう。

小澤 今から15年ほど前、蔵の裏手に樹齢300年くらいの大きな樹が2本立っていましたが、倒木の危険があるということで、1本を切ることにしたんです。しかし、創業当時から残っている木ですから、ただ伐採してしまうのは勿体ない。そこで先代は、木桶を作ることにしました。しかし酒桶に使う大きな木桶を作れる職人は当時でもほとんど残っておらず、製材した木を大阪まで運んで作ってもらいました。現在でも一部商品はこの木桶で造られています。

ーー木桶を使うことで造った酒に芳醇なうまみが生まれる作用は、現代の醸造学でも解明されていないものの、金属製のタンクで造った酒とは明らかに違う味に仕上がるそう。それは、少し野太い、男性的なイメージの風味だといいます。

澤乃井ブランドを代表する「特別純米」(画像左)と「大吟醸」(画像中央)。伝統的な生酛造りで醸造された清酒「東京蔵人」(画像右)

全国燗酒コンテスト・プレミアム燗酒部門で2年連続金賞を受賞した生酛純米吟醸「東 京蔵人」は「澤乃井」の同社ラインナップでも新しく開発された製品。醸造方法に特徴があるそうです。

小澤 生酛(きもと)造りという伝統的な手法で造っています。日本酒の醸造は麹の働きによって米のデンプンから糖を作り、その糖を酵母でアルコールに変える、という工程で行なわれますが、その過程で乳酸が必要になります。現代では人工乳酸を直接添加する速醸酛(そくじょうもと)と呼ばれる手法で造られる日本酒がほとんどで、当社の酒も多くは速醸酛で造っていますが、東京蔵人ではあえて伝統的な醸造法にこだわりました。乳酸菌から天然の乳酸を造る、大変に手間と時間がかかる手法です。しかし、手間をかけた分だけ味わい深く、他との違いがはっきりと味に表れます。

ーー生酛造りで造られたお酒は乳酸ならではの風味が残り、酸味も強い独特の味わいとのこと。あえて手間のかかる製法にこだわった理由は、伝統的な酒蔵としてのポリシーを示し、米と水というシンプルな材料から多彩な味わいを生み出せる日本酒の奥深さを知って欲しいという小澤さんの想いによるものでした。

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変化ありきではなく、伝統を守って時代に溶け込む

食文化の変化といった外的要因により、合理的な製造方法、これまでとは違う斬新な販売戦略に舵を切る酒蔵も現在は増えているそう。それでも小澤さんは、自身の会社、自社の製品に必要以上の変化を求めてはいないようです。

「流行に乗ることも大切ですが、流されないようにしたいですね」と小澤さん。23代目当主として酒造を守り続ける熱意と想いが感じられた

小澤 私は会社のすぐ近くにある家で育ち、先代が当主を務めていた時代の会社も大好きでした。そこには約300年以上に渡って連綿と引き継がれてきた伝統が根付いています。もちろん、会社には約80人の社員がおり、その先には家族の生活がありますから、売上を上げる努力も必要です。普通ではできないことをやらせてもらっている責任感もありますし、当主として新しいことにチャレンジする姿勢は忘れないようにしたいところですが、変化ありきではなく、伝統を守ることにもこだわっていきたいと思っています。

沢井の地に荘厳とたたずむ小澤酒造。その建物からは、酒と歴史の香りがふわりと舞うようだった

ーー毎朝、仕事を始める前には全社員で蔵の入り口に置かれた神棚に手を合わせ、二拝二拍手一拝を行なうのが恒例という小澤酒造。これは人間が嗜むためだけでなく、神様に捧げるものとして扱われてきたお酒を造る者としての姿勢を忘れないためだそうです。

伝統の上に凛として立つ小澤酒造の姿勢に、まさしく日本酒ならではの清らかなたたずまいと奥深い味わいが重なりました。

取材協力=小澤幹夫(小澤酒造 株式会社)

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